国産原料=安全とは限らない?信頼できるドッグフードを選ぶために見るべき表記と選ぶべき会社

パッケージの「国産」の二文字を見て、少し安心してかごに入れる。多くの飼い主にとって、なじみのある場面ではないでしょうか。

実は、ドッグフードの「国産」は最終的な加工を日本で行ったという意味で、原材料の産地までは示していません。日本で売られるフードは、国産か輸入品かを問わず同じ安全基準の対象です。信頼できるフードを選ぶには、「国産」の文字よりも、原材料の産地・事業者の種別・添加物の書き方を確かめるほうが確実でしょう。

  • 「国産」の意味:最終加工工程を完了した国が日本であること [※1]
  • 安全基準:ペットフード安全法の成分規格と製造基準は、製造・輸入・販売のすべてが対象 [※2]
  • 「無添加」の条件:何が無添加かの併記と、すべての製造工程での不使用の確認が必要 [※1]
  • 「ヒューマングレード」:日本の表示規約には定めがなく、根拠は作り手に確かめる

ドッグフードの「国産」表示は何を意味する?

ドッグフードの原産国は、製造工程のうち最終加工工程を完了した国を指し、それが日本であれば「国産」と表示できます [※1]。ラベルを貼る、詰め直す、単に切る・混ぜる、輸送のために乾燥や冷凍をするといった作業は、最終加工工程には含まれません [※1]。

ペットフード安全法で表示が義務付けられているのは、名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者の種別と名称・住所です [※2]。この中に原材料の産地は含まれていないため、肉や穀物がどこで育ったかを知るには、作り手が任意で書いている情報を探すことになります。

表示 わかること 確かめ方
原産国名・「国産」 最終加工工程を完了した国 原材料の産地とは別の情報として読む
原材料の産地 表示の義務はなく、任意の記載 「〇〇県産」などの記載や、商品ページの説明を確認
事業者の種別 製造業者・輸入業者・販売業者の別 誰が製造し、誰が販売しているかを確認

出典:ペットフードの表示に関する公正競争規約 [※1]、農林水産省「ペットフードの安全確保のために」 [※2]

鹿肉を使ったフードの国産と海外産の違いは、「国産と海外産のベニソンドッグフード比較」でも取り上げています。

国産と外国産で安全基準は違う?ペットフード安全法の基準

日本で売られる犬・猫用のフードは、国産か輸入品かを問わず、ペットフード安全法の同じ基準の対象です。法律は、基準に合わないペットフードの製造・輸入・販売を禁じています [※2]。

この法律は2009年6月に施行され、農林水産省と環境省が共同で所管しています [※3]。きっかけは、2007年に米国でペットフードが原因とみられる犬や猫の死亡事故が相次いだことでした [※4]。

基準には、原材料や添加物の上限を決めた成分規格と、製造方法の基準があります。農林水産省の資料に示された主な内容は次のとおりです [※2]。

区分 主な内容 上限値の例
添加物 酸化防止剤エトキシキン・BHA・BHT 合計150µg/g、犬用のエトキシキンは75µg/g
かび毒 アフラトキシンB1など アフラトキシンB1は0.02µg/g
重金属など 鉛・カドミウム・無機ヒ素 鉛は3µg/g、カドミウムは1µg/g
その他 メラミン、農薬、有機塩素系化合物 メラミンは2.5µg/g
製造方法 有害な物質や病原微生物に汚染された原材料の使用禁止 加熱・乾燥は微生物を除去できる方法で行う

出典:農林水産省「ペットフードの安全確保のために」 [※2]

国産だから基準が厳しい、輸入品だから緩いという仕組みにはなっていません。差が出るのは、同じ基準の上で、どんな原材料をどう扱い、どこまで情報を公開しているかという個々の製品の部分です。

「添加物不使用」「無添加」の基準と読み方

ペットフードの表示に関する公正競争規約では、「無添加」「不使用」と書くには、何が無添加なのかを併記することが条件です [※1]。そのうえで、原材料についてはすべての製造工程で使っていないこと、添加物については加工助剤や栄養強化目的のものも含めて一切使っていないことが確認できる場合に限られます [※1]。

一方、ペットフード安全法では、添加物も含めて原材料を原則すべて表示し、添加物は用途名と物質名の両方を書くことになっています [※2]。「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のような書き方がそれにあたります。

「無添加」の文字を見たら、何が無添加なのかを読み、原材料名の欄で用途名の付いた添加物を確かめてみてください。原材料の並び順や商品名の決まりは、「犬のアレルギー対策ドッグフードの選び方と原材料表示の見方」で整理しています。

「ヒューマングレード」の表示はどう見極める?

日本のペットフードの表示に関する公正競争規約には、「ヒューマングレード」という言葉の使い方を定めた条文はありません [※1]。何をもってヒューマングレードと呼ぶかは作り手しだいなので、根拠を確かめる必要があります。

参考になるのが米国の考え方です。米国の飼料規制当局でつくる団体AAFCOの指針案は、すべての原材料と完成品を人の食品の規則に沿って保管・取り扱い・加工・輸送していることを条件にしています。そのうえで、この言葉は製品全体についてのみ使えるとしています [※5]。原材料の一部だけが人の食品並みであっても、製品全体がそうとは限らないということです。

パッケージにヒューマングレードとあれば、どの原材料が、どの工程まで人の食品と同じ扱いなのかを作り手に尋ねてみてください。

信頼できるドッグフードを選ぶ5つの確認ポイント

選ぶときに見る場所は五つです。どれもパッケージや商品ページで確かめられ、わからなければ作り手に問い合わせることができます。

確認ポイント 見る場所 見方
1. 原産国と事業者 原産国名、事業者の種別・名称・住所 誰がどこで最終加工したか
2. 原材料の産地 原材料名、商品ページ 主な原材料の産地が書かれているか
3. 目的と対象 総合栄養食・間食・療法食などの表示 主食なら総合栄養食で、愛犬の成長段階に合っているか
4. 添加物の書き方 原材料名、「無添加」の表示 何が無添加で、何を使っているか
5. 作り手の情報公開 商品ページ、問い合わせ窓口 製造施設や管理の方法を説明しているか

出典:ペットフードの表示に関する公正競争規約 [※1]、農林水産省「ペットフードの安全確保のために」 [※2]

鹿肉などのジビエを使ったフードでは、原料を処理した施設も手がかりになります。農林水産省は2018年に国産ジビエ認証制度を設け、食肉処理施設を認証しています。認証の条件は、衛生管理基準とカットチャートによる流通規格を守り、ラベル表示でトレーサビリティを確保していることです [※6]。

フードを切り替えたあとに便や皮膚の状態が変わったときは、原材料の一覧を持ってかかりつけの獣医師に相談してください。おやつを選ぶときの製法や加工助剤の見方は、「食物アレルギーの犬にジャーキーを選ぶ3つの基準」で紹介しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国産ドッグフードと外国産ドッグフードの違いは?

日本で売られるフードは、どちらもペットフード安全法の同じ成分規格と製造基準の対象です [※2]。表示上の違いは原産国名で、最終加工工程を完了した国が日本なら「国産」と書かれます [※1]。

Q2. 「国産」と書いてあれば、原材料も日本産?

「国産」は最終加工をした国を示す表示で、原材料の産地を示すものではありません [※1]。原材料の産地は表示義務の項目に含まれていないため [※2]、知りたいときは任意の記載や商品ページを確認し、なければ作り手に尋ねてください。

Q3. 国産ドッグフードの「添加物不使用」の基準は?

表示の規約では、何が無添加かを併記し、加工助剤なども含めて一切使っていないことが確認できる場合に限って「無添加」「不使用」と書けます [※1]。国産か輸入品かでこの決まりは変わりません。

Q4. ヒューマングレードのドッグフードは国産のほうが安心?

日本の表示規約には「ヒューマングレード」の定めがないため [※1]、国産かどうかにかかわらず、何を根拠にそう書いているかを作り手に確かめるのが確実です。

参考文献

  1. ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(ペットフード公正取引協議会)
  2. ペットフードの安全確保のために(農林水産省、2026年7月改定)
  3. ペットフードの安全関係(ペットフード安全法 事業者のみなさま向けページ)(農林水産省)
  4. ペットフード安全法の概要(農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課、2015年)
  5. Guidelines for "Human Grade" Pet and Specialty Pet Food Claims(案)(AAFCO)
  6. 国産ジビエ認証制度(農林水産省)

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