原材料名の欄に並ぶ、見慣れないカタカナや「〇〇号」。ドッグフードやおやつの添加物が気になって、成分名で検索した方もいるでしょう。
日本で売られる犬用のフードとおやつの添加物は、ペットフード安全法で上限値や使い方が決められ、用途名と物質名の両方で表示されています。気になる添加物は、原材料名の欄で「何のために、何を使っているか」を読めば確かめられます。この記事では、主な添加物の種類と役割、基準値、表示の読み方を整理しました。
- 対象:ペットフード安全法の基準は、総合栄養食だけでなくおやつにも適用される [※1]
- 上限値:酸化防止剤のエトキシキン・BHA・BHTは合計150µg/g、犬用のエトキシキンは75µg/gまで [※1]
- 表示:添加物は「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のように用途名と物質名で書く [※1]
- 「無添加」:何が無添加かの併記と、加工助剤なども含めた不使用の確認が条件 [※2]
ドッグフードの添加物とは?種類と役割の一覧
ドッグフードの添加物は、品質を保つ、栄養を補う、見た目や形を整えるといった目的で加えられる成分です。ペットフード安全法では、添加物も含めて原材料を原則すべて表示し、添加物は用途名と物質名の両方を書くことになっています [※1]。
| 用途名 | 役割 | 表示の例 |
|---|---|---|
| 酸化防止剤 | 油脂の酸化を防ぐ | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、BHA、BHT、エトキシキン |
| 保存料 | カビや細菌の増殖を抑える | ソルビン酸カリウム |
| 発色剤 | 肉の色を保つ | 亜硝酸ナトリウム |
| 保湿剤 | 水分を保ち、やわらかさを保つ | プロピレングリコール |
| 着色料 | 色をつける | 赤色102号などの物質名で表示 |
| 栄養強化 | ビタミンやミネラルを補う | ビタミン類、ミネラル類 |
表示方法の出典:農林水産省「ペットフードの安全確保のために」 [※1]
ビタミン類やミネラル類も、栄養を補う目的の添加物です。総合栄養食はフードと水だけで健康を保てるよう栄養を整えたものなので [※2]、こうした栄養強化の添加物は広く使われています。
犬の添加物は危険?ペットフード安全法の基準値
添加物の安全性を考える出発点は、量と基準です。ペットフード安全法では、健康への影響が心配される一部の添加物に上限値が決められ、基準に合わないフードの製造・輸入・販売は禁じられています [※1]。
| 添加物 | 用途 | 上限値・使用基準 |
|---|---|---|
| エトキシキン・BHA・BHT | 酸化防止剤 | 3つの合計で150µg/g。犬用はエトキシキン単独で75µg/g |
| 亜硝酸ナトリウム | 発色剤 | 100µg/g |
| プロピレングリコール | 保湿剤など | 猫用のフードには使用できない |
出典:農林水産省「ペットフードの安全確保のために」 [※1]。µg/gはフード1gあたりのマイクログラム数。
海外でも扱いは一様ではありません。米国では、エトキシキンは飼料中150ppmを超えてはならず、用途の表示が求められています [※3]。欧州連合(EU)は2017年に、飼料添加物としてのエトキシキンの認可を停止しました [※4]。
日本では、基準値を守っていれば使用は認められています。そのうえで、合成の酸化防止剤を使っていないフードを選びたい場合は、原材料名の「酸化防止剤( )」の中を確かめてみてください。
ミックストコフェロール・ソルビン酸カリウムの安全性
検索で気にされることの多い二つの添加物について、欧州食品安全機関(EFSA)の飼料添加物の評価を紹介します。
ミックストコフェロール(ビタミンE)
ミックストコフェロールは、植物油から取り出したビタミンE(トコフェロール)で、ドッグフードでは酸化防止剤として使われます。EFSAの専門委員会は2026年の再評価で、植物油由来のトコフェロール抽出物は、対象となるすべての動物について引き続き安全と結論しています [※5]。
ソルビン酸カリウム
ソルビン酸カリウムは、カビや細菌の増殖を抑える保存料で、水分の多い半生タイプのフードやおやつに使われます。EFSAの専門委員会は、半生タイプの総合栄養食1kgあたり5,000mgまでなら犬と猫に安全と評価しています [※6]。ただし、この評価は公表された限られたデータに基づくものだと添えられています [※6]。
どちらの添加物も、使っているかどうかは原材料名の欄でわかります。気になる場合は、使っていないフードを選ぶか、作り手に使用の理由を尋ねてみてください。
おやつの添加物と「無添加」表示の読み方
犬のおやつも、ペットフード安全法の対象です。農林水産省の資料では、総合栄養食や一般食に加えて、おやつやサプリメントなども法律の対象に含まれています [※1]。ジャーキーなど水分を含むおやつには保存料や保湿剤が使われることがあるため、主食と同じように原材料名を確かめましょう。
「無添加」の表示も手がかりになります。ペットフードの表示に関する公正競争規約では、「無添加」「不使用」と書くには、何が無添加なのかを併記することが条件です [※2]。添加物について書く場合は、加工助剤や栄養強化目的のものも含めて一切使っていないことを確認できる場合に限られます [※2]。
| パッケージの表示 | 読み取れること | 確かめること |
|---|---|---|
| 「合成保存料無添加」 | 合成の保存料は使っていない | 酸化防止剤や着色料など、ほかの用途の添加物 |
| 「着色料・香料不使用」 | 着色料と香料は使っていない | 保存料・酸化防止剤の有無 |
| 原材料が肉だけ | 原材料名に添加物の記載がない | 製法(乾燥方法など)の説明 |
おやつの選び方は「食物アレルギーの犬にジャーキーを選ぶ3つの基準」、表示全体の見方は「国産ドッグフードの選び方」でも解説しています。
フードやおやつを替えたあとに、かゆみや下痢などが続く場合は、添加物に限らず原材料全体が関わっている可能性があります。自己判断で次々に替えず、原材料の一覧を持って動物病院で相談してください。食物アレルギーの見極め方は「犬のアレルギー対策ドッグフードの選び方と原材料表示の見方」で整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ドッグフードの添加物は危険ですか?
日本で売られる犬用のフードとおやつは、ペットフード安全法の基準に合うよう作られ、一部の添加物には上限値があります [※1]。気になる添加物があれば、原材料名の欄で用途名と物質名を確かめ、使っていない製品を選ぶこともできます。
Q2. ミックストコフェロールに危険性はある?
ミックストコフェロールは植物油由来のビタミンEで、酸化防止剤として使われます。欧州食品安全機関(EFSA)の専門委員会は、植物油由来のトコフェロール抽出物を対象動物に安全と評価しています [※5]。
Q3. ソルビン酸カリウムは犬に安全?
EFSAの専門委員会は、半生タイプの総合栄養食1kgあたり5,000mgまでなら犬と猫に安全と評価しています [※6]。半生タイプのフードやおやつに使われることが多い保存料です。
Q4. 犬の添加物の一覧はどこで確かめられる?
そのフードに使われている添加物は、パッケージの原材料名の欄にすべて書かれています。添加物は用途名と物質名の両方で表示されるため [※1]、用途名を手がかりに読むとわかりやすいでしょう。
参考文献
- ペットフードの安全確保のために(農林水産省、2026年7月改定)
- ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(ペットフード公正取引協議会)
- Labeling and Use of Ethoxyquin in Animal Feed(U.S. Food and Drug Administration, 2024)
- Commission Implementing Regulation (EU) 2017/962(エトキシキンの飼料添加物としての認可の停止)(欧州委員会, 2017)
- Assessment of the feed additives tocopherol extracts from vegetable oils, tocopherol-rich extracts from vegetable oils (delta rich) and alpha-tocopherol for all animal species for the renewal of their authorisation(EFSA FEEDAP Panel. EFSA Journal 24(2):9917, 2026)
- Scientific Opinion on the safety and efficacy of potassium sorbate for dogs and cats(EFSA FEEDAP Panel. EFSA Journal 10(6):2735, 2012)
メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて
メゾン・ド・ジビエは、国産ジビエ認証を取得した施設で精肉・製造した鹿肉を使い、原材料をすべて商品ページで公開しています。おやつの「天然鹿の無添加ジャーキー(赤身・小型犬でも食べやすい薄型タイプ)」は、原材料が鹿肉だけです。
「天然鹿肉と有機玄米のやわらかリゾット」は、鹿肉・有機JAS認証の玄米・大根・キャベツ・にんじん・こんにゃく寒天粉末の6つの原材料でつくっています。このリゾットは、井上慎也先生(GREENDOG&CATアニマルクリニック東京ミッドタウン院長、ベックジャパン動物病院グループ皮膚・アレルギー科専科長)の開発協力・監修のもとで開発しました。食物アレルギーに配慮したレシピで、アレルギーに関する臨床試験も行いました。食いつきを良くするための添加物や香料、合成保存料は使っていません。











