食べない・痩せてきた…そんなシニア犬に「鹿肉」が効く?|無添加ドッグフードの選び方

抱き上げたときに背骨が手に当たる。器のフードが少しずつ残るようになった。十歳を過ぎた愛犬の変化に、食事を見直そうと考える飼い主は少なくありません。

シニア犬が痩せてきたらまず動物病院で原因を確かめ、そのうえでタンパク質をしっかり摂れる食事を考えることが大切です。鹿の赤身肉は、鶏むね肉と同じくらいタンパク質が多く、鉄や亜鉛、ビタミンB群を多く含む肉で、主食やトッピングの選択肢になります。

  • シニア犬の体の変化:筋肉が落ちやすく、ガイドラインはタンパク質の量と質を少し高めることを示している [※1]
  • 痩せてきたとき:加齢による筋肉の減少のほか、慢性の病気が隠れていることもある [※2]
  • 鹿の赤身肉:100gあたりたんぱく質23.9g・脂質4.0g・鉄3.9mg [※3]
  • 与え方:主食は総合栄養食を基本に、トッピングやおやつで取り入れる [※4]

老犬・シニア犬が痩せてきたときに考えたいこと

シニア犬が痩せてきたときにまず考えたいのは、筋肉が落ちているのか、病気が隠れているのかという点です。獣医学の総説では、加齢に伴う筋肉の減少(サルコペニア)と、心臓病・慢性腎臓病・がんなどの病気に伴う筋肉の減少(悪液質)を分けて考え、どちらも病気や死亡のリスクの高まりと関係するとしています [※2]。体重が落ちてきたら、食事を変える前に動物病院で相談してください。

米国動物病院協会(AAHA)のシニアケアのガイドラインでは、犬は年をとると筋肉が減って脂肪が増えやすく、高齢になると全体として体重が落ちていく傾向があるとしています [※1]。体型の目安は9段階評価で4.5〜5とされ、体型と筋肉の両方を見ることが、加齢の変化と病気の変化を見分ける手がかりになります [※1]。

食事については、筋肉の減少を補うために、シニア用の食事ではタンパク質の量と質を少し高めることがあると示されています [※1]。タンパク質の消化率や、食欲が落ちたときの見直し方は、「シニア犬の消化しやすいタンパク質とは?」と「シニア犬の食欲低下とタンパク質の質」で詳しく解説しています。

老犬にあげていい肉は?鹿肉と鶏肉・牛肉の栄養を比べる

文部科学省の食品成分データベースで生の赤身肉を比べると、鹿の赤身肉は鶏むね肉(皮なし)と同じくらいのタンパク質を含み、脂質は牛もも肉の半分以下です [※3][※5][※6]。鉄は鶏むね肉の10倍以上、牛もも肉の約3倍あり、ビタミンB2やB12も多く含まれています。

成分(生・100gあたり) 鹿 赤肉 鶏むね 皮なし 牛もも 皮下脂肪なし
エネルギー 119kcal 105kcal 169kcal
たんぱく質 23.9g 23.3g 20.5g
脂質 4.0g 1.9g 9.9g
鉄 3.9mg 0.3mg 1.3mg
亜鉛 2.9mg 0.7mg 4.7mg
ビタミンB2 0.35mg 0.11mg 0.21mg
ビタミンB12 1.3µg 0.2µg 1.2µg

出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)。鹿は「しか にほんじか 赤肉 生」、鶏は「にわとり 若どり むね 皮なし 生」、牛は「うし 乳用肥育牛肉 もも 皮下脂肪なし 生」 [※3][※5][※6]

これは人の食品としての生肉の値で、ドッグフードの成分は製品ごとに異なります。フードを比べるときは、パッケージの成分値を確かめてください。

鹿肉に多い栄養素と、体の健康維持との関わり

鹿の赤身肉に多いタンパク質・亜鉛・ビタミンB2は、皮膚と被毛の健康を保つのに欠かせない栄養素です。獣医皮膚科の専門医による解説では、タンパク質が足りないと毛がつやを失ってもろくなり、亜鉛やビタミンB2が足りないと皮膚の乾燥やかさつきが起こるとされています [※7]。毛づやを保つ食事を考えるとき、これらをまとめて含む鹿肉は頼りになる食材です。

鉄とビタミンB12も、鹿の赤身肉に多い栄養素です。どちらも赤血球をつくるのに必要な微量栄養素で、不足は貧血の原因になります [※8]。ただし獣医学の解説では、犬の鉄不足は食事が原因になることはまれで、多くは慢性的な出血に続いて起こるとされています [※8]。貧血が気になるときは、食事で補う前に動物病院で原因を調べてもらってください。

涙やけは、食事で変わるケースと変わらないケースがあります。見分け方は「犬の涙やけと食事の関係」で解説しています。

肉をそのまま与える場合、野生の獣肉は中心部まで十分に加熱することが、農林水産省の衛生管理の要点に挙げられています [※9]。毎日の主食は、フードと水だけで健康を保てるよう栄養を整えた「総合栄養食」を基本にし [※4]、肉は総合栄養食に足す形で取り入れると栄養が偏りにくいでしょう。

鹿肉が合いやすい犬|食べたことのないタンパク源として

鹿肉は、牛肉や鶏肉を中心にしたフードを食べてきた犬にとって、食べたことのないタンパク源になりやすい肉です。犬の食物アレルギーの原因として多く報告されているのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦で [※10]、食べたことのない原材料を選ぶことが、食事を見直すときの基本とされています [※11]。

シニア期になって皮膚のかゆみが続くなど、食事が関係していそうな症状があるときは、自己判断でフードを替える前に獣医師に相談してください。原材料表示の読み方は「犬のアレルギー対策ドッグフードの選び方と原材料表示の見方」で整理しています。

シニア犬の食事に鹿肉を取り入れる方法|主食・トッピング・おやつ

鹿肉の取り入れ方は、主食を切り替える、いつものフードにのせる、おやつに使う、の三つです。愛犬の食べる量や歯の状態に合わせて選びます。

取り入れ方 向いている場面 確かめたいこと
主食(ドライフード) 毎日の食事を見直したいとき 総合栄養食で、対象の成長段階に成犬・高齢期が含まれるか
トッピング(ウェット) 食べる量が減ってきたとき 一日に与える総量の中で調整
おやつ(ジャーキー) ごほうびやコミュニケーション 硬さ・大きさが歯や口に合うか、与えすぎていないか

水分を加えることも一つの方法です。AAHAのガイドラインでは、フードに水分を加えるとシニア犬の栄養素の消化率が高まったという研究が紹介されています [※1]。ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、やわらかいウェットフードを合わせたりすると、歯が弱ってきた犬にも食べやすくなります。

フードを替えるときは、いつもの食事に少量ずつ混ぜて始め、便の状態を見ながら割合を増やしてください。下痢や嘔吐が続く、食べる量が戻らないといったときは、早めに獣医師に相談しましょう。

鹿肉ドッグフードの安全性|ジビエの衛生管理

鹿肉は野生の獣肉、いわゆるジビエです。農林水産省は野生獣肉のペットフードについて、金属探知機による異物の検査、中心部までの十分な加熱、出荷前の微生物検査などを衛生管理の要点として示しています [※9]。

原料の処理施設を見るときの手がかりが、農林水産省が2018年に設けた国産ジビエ認証制度です。衛生管理基準とカットチャートによる流通規格を守り、ラベル表示でトレーサビリティを確保している食肉処理施設が認証されます [※12]。鹿肉のフードを選ぶときは、こうした施設の鹿肉を使っているかを確かめてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 老犬にあげていい肉は?

加熱した脂身の少ない肉であれば、鹿肉・鶏むね肉・牛もも肉などを総合栄養食に足す形で取り入れられます。鹿の赤身肉は、100gあたりたんぱく質23.9g・脂質4.0gで、鉄も3.9mg含んでいます [※3]。持病がある犬は、与える肉の種類と量を獣医師と相談してください。

Q2. 老犬が痩せてきたときの食事は?

まず動物病院で、加齢による筋肉の減少か、病気によるものかを確かめます [※2]。健康なシニア犬では、タンパク質の量と質を少し高めることがガイドラインで示されています [※1]。

Q3. 犬に鹿肉を与えるとどんな効能がありますか?

鹿肉は薬ではなく食材なので、効能よりも栄養の特徴で見るのが適切です。栄養の面では、高タンパクで脂質が少なく、鉄・亜鉛・ビタミンB2・B12を多く含む点が挙げられます [※3]。

Q4. シニア犬のおやつに鹿肉ジャーキーはいい?

原材料が鹿肉だけのジャーキーは、原材料を確かめやすいおやつです。シニア犬には薄く食べやすいものを選び、主食の栄養を崩さない量にとどめてください。食物アレルギーの犬のジャーキー選びは「食物アレルギーの犬にジャーキーを選ぶ3つの基準」で紹介しています。

参考文献

  1. 2023 AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats(Dhaliwal R ほか. Journal of the American Animal Hospital Association 59(1):1-21, 2023)
  2. Cachexia and Sarcopenia: Emerging Syndromes of Importance in Dogs and Cats(Freeman LM. Journal of Veterinary Internal Medicine 26(1):3-17, 2012)
  3. 食品成分データベース:しか にほんじか 赤肉 生(文部科学省、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
  4. ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(ペットフード公正取引協議会)
  5. 食品成分データベース:にわとり 若どり むね 皮なし 生(文部科学省、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
  6. 食品成分データベース:うし 乳用肥育牛肉 もも 皮下脂肪なし 生(文部科学省、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
  7. Nutritional Dermatoses(Prélaud P, DVM, Dipl ECVD; Harvey R. Encyclopedia of Canine Clinical Nutrition, 2007)
  8. Nonregenerative Anemias in Animals: Nutritional Deficiencies(Kendall A, DVM, MS, DACVIM. Merck Veterinary Manual, 2026年3月更新)
  9. 野生獣肉のペットフードについて(農林水産省, 2025年6月)
  10. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. BMC Veterinary Research 12:9, 2016)
  11. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (5): discrepancies between ingredients and labeling in commercial pet foods(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 14:24, 2018)
  12. 国産ジビエ認証制度(農林水産省)

メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて

メゾン・ド・ジビエは、国産ジビエ認証を取得した施設で精肉・製造した鹿肉を使い、原材料をすべて商品ページで公開しています。

主食の「天然鹿肉と8種類の雑穀ドライフード」はオールステージの総合栄養食です。「天然鹿肉と有機玄米のやわらかリゾット」はいつものフードにのせるウェットタイプです。このリゾットは、井上慎也先生(GREENDOG&CATアニマルクリニック東京ミッドタウン院長、ベックジャパン動物病院グループ皮膚・アレルギー科専科長)の開発協力・監修のもとで開発しました。食物アレルギーに配慮したレシピで、アレルギーに関する臨床試験も行いました。食いつきを良くするための添加物や香料、合成保存料は使っていません。おやつには原材料が鹿肉だけの「天然鹿の無添加ジャーキー(赤身・小型犬でも食べやすい薄型タイプ)」があります。

▶ メゾン・ド・ジビエの鹿肉ドッグフードを見る

Back to blog