犬のアレルギー対策にいま選びたいドッグフードとは?失敗しない選び方と知られざる表記の裏側について

かゆがる場所が毎年同じで、季節が変わってもおさまらない。そんなとき、まず食事を見直そうと考える飼い主は少なくありません。

結論から書くと、アレルギー対策のドッグフード選びで大切なのは、愛犬がこれまでに食べてきたタンパク源を知り、原材料欄を最後まで読むことです。食物アレルギーかどうかの見極めは、獣医師と進める除去食試験が基本になります。この記事では、原材料表示の読み方と、表示だけではわからない点の確かめ方を整理しました。

  • 原因になりやすい食材:犬で多く報告されているのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦 [※1]
  • 診断の基本:血液検査ではなく、8週間以上の除去食試験 [※2][※3]
  • 原材料の並び順:添加物以外は重量の多い順。商品名に使う素材は内容量の5%以上が条件 [※4]
  • 表示の限界:表示にない原材料の混入が国内外で報告されており、作り手の情報公開も選ぶ基準になる [※5][※6]

犬の食物アレルギーとは?症状と原因になりやすい食材

食物アレルギーは、特定の食べ物に体の免疫が過剰に反応して起こる状態で、犬では牛肉・乳製品・鶏肉・小麦が原因として多く報告されています [※1]。獣医学の総説によると、動物病院を受診する犬全体に占める割合は1〜2%ですが、かゆみのある犬に限ると9〜40%に上ります [※7]。

獣医皮膚科の専門医による解説では、食物アレルギーのかゆみは環境アレルギー(アトピー)とよく似た出方をし、季節による強弱が小さいことが特徴とされています [※2]。環境アレルギーでかゆみが出やすい場所として挙げられているのは、足先・顔・耳・前脚・お腹です [※2]。

症状だけで二つを見分けるのは難しいため、かゆみや耳の炎症が続くときは、フードを次々に替える前に動物病院で相談してください。アトピーとの違いは「犬のアトピーと食物アレルギーの違い・見分け方」で詳しく解説しています。

フードを選ぶ前に知っておきたい除去食試験の基本

食物アレルギーかどうかを確かめる方法として、獣医学で標準とされているのが除去食試験です [※3]。愛犬が食べたことのない原材料でつくった食事か、タンパク質を細かく分解した加水分解食だけを一定期間与え、かゆみが引くかを見ます [※2]。

一方、血液や皮膚の検査は、食物アレルギーの診断には信頼できないとされています [※2]。検査の結果だけでフードを決めると、原因を取り違えるおそれもあるでしょう。

期間については、獣医学の総説によると、除去食を始めて5週間で8割以上、8週間で9割以上の犬の症状がおさまっていました [※3]。このため試験は少なくとも8週間続けることが勧められています。症状が引いたら、もとの食材を一つずつ戻して再び症状が出るかを確かめ、最初に戻す食材は原因として多い牛肉と乳製品からとされます [※1]。

除去食の種類 中身 選ぶときの確認点
ノベルプロテイン食 愛犬が食べたことのないタンパク源でつくる食事 これまでのフード・おやつ・トッピングの原材料をさかのぼって確認
加水分解食 タンパク質を細かく分解した食事 動物病院で相談して選ぶ

出典:獣医皮膚科の専門医による解説 [※2]

試験中は、おやつやトッピングも主食と同じ基準で選ぶ必要があります。進め方の詳細は「犬のアレルギー検査で改善しない理由と除去食試験の正しい進め方」、おやつの選び方は「除去食試験中のおやつ選び」にまとめました。

ドッグフードの原材料表示の見方|アレルギー対策で確かめる5つのこと

原材料表示で確かめたいのは、どの動物のタンパク源が、原材料のどの位置に書かれているかです。日本ではペットフード安全法により、名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名と住所の5項目を日本語で表示することが義務付けられています [※8]。

ペットフードの表示に関する公正競争規約では、さらに細かな書き方が決められています。添加物以外の原材料は重量の多い順に並べること、商品名や写真で「ビーフ」「チキン」のような原材料を示すには内容量の5%以上を使っていること、などです [※4]。

見る場所 決まり アレルギー対策での見方
原材料名 表示義務のある5項目の一つ 肉・魚・卵・乳など動物性の原材料をすべて書き出す
原材料の並び順 添加物以外は重量の多い順 先頭の原材料が主なタンパク源かを確認
商品名・写真の素材 内容量の5%以上使用が条件 名前にない肉や魚が原材料名に入っていないかを確認
目的の表示 総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食 主食なら総合栄養食。療法食は獣医師の指導のもとで使用
「無添加」「不使用」 何を使っていないかの併記が条件 使っていない原材料の名前を具体的に読む

出典:農林水産省「野生獣肉のペットフードについて」 [※8]、ペットフードの表示に関する公正競争規約 [※4]

「肉類」「動物性油脂」のように、原料の動物がわからない名称が並んでいることもあります。その場合は、何の動物に由来するかを作り手に尋ねてみてください。

効能のうたい方にも目を向けておきましょう。農林水産省の資料では、病名や症状、その改善や予防をうたう表示は医薬品的な表示にあたるとされています [※9]。「アレルギーが治る」といった言葉よりも、原材料と製法がどこまで具体的に書かれているかを判断の材料にするとよいでしょう。

原材料表示にない混入の報告と、表示を補う確かめ方

原材料表示は大切な手がかりですが、表示にない原材料が検出された報告が国内外にあります。獣医学の総説によると、市販のペットフードを調べた17本の論文と1本の学会抄録では、表示にない原材料が見つかったフードの割合は0〜83%(中央値45%)でした [※5]。除去食向けに「ノベル」「限定原材料」をうたうフードでは33〜83%、加水分解食で表示との食い違いが疑われたのは1製品だけだったと報告されています [※5]。

国内では、原材料に小麦・卵・乳の記載がない食物アレルギー用の療法食5製品を調べた研究があります。人の食品のアレルギー表示の基準を超える量の小麦が3製品から、卵が1製品から見つかり、乳は検出されませんでした [※6]。同じ論文は、ドッグフードにはアレルゲンの混入について明確な基準や表示義務がないことも指摘しています [※6]。

混入した原材料で実際に症状が出るかまでは、まだ確かめられていません [※5]。8週間の除去食試験でもかゆみが引かないときは、フードの種類を替えるかどうかを獣医師と相談してください。原材料の産地や製造施設を公開し、問い合わせに答えてくれる作り手を選ぶことも、表示を補う確かめ方の一つです。

鹿肉という選択肢|食べたことのないタンパク源として

鹿肉は、牛肉や鶏肉を中心にしたフードを食べてきた犬にとって、食べたことのないタンパク源になりやすい肉です。除去食は愛犬が食べたことのない原材料から選ぶのが基本で [※5]、原因として多く報告される牛肉・乳製品・鶏肉 [※1] を避けたいときの候補になります。犬の食物アレルギーとタンパク源の関係は「犬の食物アレルギー原因タンパク質ランキング」でも紹介しています。

鹿肉は野生の獣肉、いわゆるジビエです。農林水産省は野生獣肉のペットフードについて、金属探知機による異物の検査、中心部までの十分な加熱、出荷前の微生物検査などを衛生管理の要点として示しています [※8]。ジビエのフードを選ぶときは、こうした管理をどう行っているかを作り手に尋ねてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. アレルギー対策のドッグフードは何を基準に選べばいい?

まず、愛犬がこれまで食べてきたフードとおやつの原材料を書き出し、そこに含まれていないタンパク源のフードを候補にします。食物アレルギーかどうかは8週間以上の除去食試験で確かめるのが基本なので [※3]、獣医師と相談しながら進めてください。

Q2. グレインフリーのドッグフードならアレルギー対策になる?

原因として多く報告されている食材には、小麦のほかに牛肉・乳製品・鶏肉があります [※1]。穀物の有無に加えて、タンパク源の種類まで原材料名で確かめることが大切です。

Q3. 血液のアレルギー検査の結果でフードを決めてもいい?

獣医皮膚科の専門医による解説では、血液や皮膚の検査は食物アレルギーの診断には信頼できないとされています [※2]。検査の結果は参考にとどめ、除去食試験で確かめる流れを獣医師と相談してください。

Q4. 国産のドッグフードなら原材料表示は信頼できる?

原産国名は表示義務のある5項目の一つですが [※8]、ドッグフードにはアレルゲンの混入について明確な基準や表示義務がありません [※6]。国産かどうかに加えて、原材料の産地や製造施設を公開しているか、問い合わせに答えてくれるかも確かめてみてください。

参考文献

  1. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. BMC Veterinary Research 12:9, 2016)
  2. Allergies in Dogs(White SD, DVM, DACVD; Moriello KA, DVM, DACVD. Merck Veterinary Manual, 2024年9月更新)
  3. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (1): duration of elimination diets(Olivry T, Mueller RS, Prélaud P. BMC Veterinary Research 11:225, 2015)
  4. ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(ペットフード公正取引協議会)
  5. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (5): discrepancies between ingredients and labeling in commercial pet foods(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 14:24, 2018)
  6. イヌの食物アレルギー用療法食における原材料表記のないアレルゲン混入の実態(辻本綾子・辻本義和. ペット栄養学会誌 24(2):107-111, 2021)
  7. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (3): prevalence of cutaneous adverse food reactions in dogs and cats(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 13:51, 2017)
  8. 野生獣肉のペットフードについて(農林水産省, 2025年6月)
  9. ペットフード、サプリメントにおける医薬品的表示の考え方(農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課)

メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて

メゾン・ド・ジビエは、国産ジビエ認証を取得した施設で処理した鹿肉を使い、原材料をすべて商品ページで公開しています。

主食の「天然鹿肉と8種類の雑穀ドライフード」はオールステージの総合栄養食で、原材料の先頭は生の鹿肉です。牛肉・鶏肉・乳製品・小麦は使っていません。トッピングの「天然鹿肉と有機玄米のやわらかリゾット」は、鹿肉・有機JAS認証の玄米・大根・キャベツ・にんじん・こんにゃく寒天粉末の6つの原材料でつくり、生の鹿肉は金属探知機で検査しています。

除去食試験や食事の切り替えに使うときは、原材料の一覧をかかりつけの獣医師に見せて相談してみてください。

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