シニア犬の健康寿命を延ばす栄養管理ガイド|年齢に応じた食事の選び方と実践法

散歩の距離が少し短くなり、器に残るフードが増えてきた。年を重ねた愛犬の食事を、このままでよいのか考え始める時期です。

シニア犬の食事で見直すのは、カロリー、タンパク質、水分と食べやすさの3つです。獣医学の指針では、年をとると必要なエネルギー量は下がる傾向がある一方、筋肉の減少を補うためにタンパク質の量と質をやや高めることも挙げられています [※1]。どちらにどれだけ調整するかは犬ごとに違うため、体重と筋肉の状態を見ながら決めましょう。

  • カロリー:必要量は年齢とともに下がる傾向。ただし高齢では痩せ気味の犬も多いため、体型で判断する
  • タンパク質:健康なシニア犬では減らさない。量と質をやや高めることも選択肢
  • 水分:ドライフードの水分は3〜11%ほど。ふやかす、ウェットフードを組み合わせると食事から水分を足せる
  • 食べやすさ:噛みにくそう、飲み込みにくそうなときは、やわらかくする前に口の中を診てもらう
  • 受診の目安:痩せてきた、水を飲む量が急に増えたときは、食事を変える前に原因を調べる

シニア犬の食事は「体重と筋肉の状態」を見て決める

シニア犬の食事を考える出発点は、年齢よりも体重と体型、筋肉のつき方です。獣医学の指針は、体型と筋肉の状態を評価することで、正常な老化の経過を追い、食事を変える時期を見極められるとしています [※1]。

獣医学の論文によると、5〜10歳の犬では4割以上が太りすぎや肥満でした。一方で、さらに高齢の犬や猫では、痩せ気味の割合も大きいとされています [※2]。同じ「シニア犬」でも、カロリーを控えたい時期と、しっかり食べてほしい時期があるわけです。

愛犬の状態 食事の方向
太り気味 脂肪とカロリーを控え、タンパク質は保つ
体重が安定し、食欲もある 今の総合栄養食を続け、体重と筋肉を定期的に確認
痩せてきた・筋肉が落ちた 食事を変える前に受診し、原因に合わせて決める

出典:獣医学の指針・論文 [※1][※2][※3] をもとに当メディアで整理

必要なエネルギー量には個体差があり、体重から計算した量より30%ほど多く必要な犬も、少なくてよい犬もいます [※4]。フードの袋にある給与量は目安と考え、定期的に体重を量り、背中や腰の筋肉のつき方を手で触って確かめてみてください。

カロリーは控えめに、タンパク質は減らさない

獣医学の指針によると、犬の維持に必要なエネルギー量は生涯を通じて下がっていく傾向があり、シニア犬にはカロリー密度を抑えて食物繊維を多くした食事が向くとされています [※1]。同じ指針では、年齢とともに筋肉量が減る「サルコペニア」を補うため、タンパク質の量と質をやや高めることも選択肢に挙がります [※1]。

獣医学の論文でも、健康なシニア犬はカロリーあたりのタンパク質を増やした食事から益を得られる可能性があるとされ、カロリーの25%以上をタンパク質からとることが目安に挙げられています [※2]。「年をとったらタンパク質を減らす」という考え方は、健康な犬には当てはまりません。

筋肉の減少は病気がなくても加齢で起こり、病気による筋肉の減少と重なることも多いと報告されています [※3]。腎臓病などで食事の指示を受けている場合は、その指示を優先してください。タンパク質の選び方は「シニア犬の消化しやすいタンパク質とは?」で詳しく解説しています。

老犬の水分補給は「食事の水分」から考える

水分を足す手軽な方法は、フードそのものの水分を増やすことです。獣医学の解説によると、ドライフードの水分は3〜11%ほど、缶詰は60%から87%超あり、缶詰を主に食べる犬はドライフードの犬より飲む水が少ない傾向があります [※4]。

ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを組み合わせたりすれば、食事から水分をとれます。獣医学の指針にも、シニア犬で食事に水分を加えると栄養素の消化率が上がったという報告が紹介されています [※1]。

反対に、水を飲む量や尿の量が急に増えたときは、病気のサインの場合があります。たとえば犬の糖尿病では、多飲・多尿、食欲の増加、体重の減少がよく見られる症状です [※5]。気になる変化があれば、動物病院で相談してください。

食べにくそうなときは「やわらかさ」と口の中を見る

シニア犬が噛みにくそうにしていたら、フードをやわらかくする前に、口の中も確かめておきたいところです。獣医学の指針では、歯周病は小型犬や高齢の犬に多いとされ、食べ物をくわえる・噛む・飲み込むのが難しそうなときは口の中を診るよう勧めています [※6]。

口の中に問題がなければ、ドライフードをぬるま湯でふやかし、粒の芯までやわらかくなってから与えると食べやすくなります。食べる様子がいつもと違うときは、動画に撮って獣医師に見せると、判断の手がかりになるでしょう [※6]。

痩せてきた・食べないときは、まず原因を調べる

食べる量は変わらないのに痩せてきた、あるいは食べる量が減って痩せてきたときは、食事を工夫する前に動物病院で原因を調べることが大切です。加齢による筋肉の減少と病気による筋肉の減少は重なりやすく、どちらも病気の悪化や寿命の短さと関係すると報告されています [※3]。

原因がわかれば、食事でできることも見えてきます。痩せてきたシニア犬の食事は「痩せてきたシニア犬の食事と鹿肉」で、食べない理由と対処は「シニア犬がご飯を食べないときの原因と対処」で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. シニア犬の食事で必要な栄養素は何ですか?

基本は総合栄養食で栄養をそろえ、カロリーは体型に合わせて調整します。タンパク質は減らさず、量と質をやや高めることも獣医学の指針で挙げられています [※1]。健康なシニア犬では、カロリーの25%以上をタンパク質からとることが一つの目安です [※2]。

Q2. 老犬の水分補給でおすすめの方法はありますか?

ドライフードをぬるま湯でふやかす、ウェットフードを組み合わせるなど、食事の水分を増やす方法が手軽です。ドライフードの水分は3〜11%ほどなのに対し、缶詰は60%を超えます [※4]。水を飲む量が急に増えたときは病気のサインのことがあるので、動物病院で相談してください [※5]。

Q3. シニア犬のフードを柔らかくする工夫はありますか?

ぬるま湯でふやかし、粒の芯までやわらかくしてから与える方法があります。噛みにくそうにしている場合は、歯周病などが隠れていることもあるため、先に口の中を診てもらいましょう [※6]。

Q4. 老犬がガリガリに痩せてきました。どうすればいいですか?

まず動物病院で原因を調べてください。筋肉の減少は加齢でも病気でも起こり、病気が隠れていることもあります [※3]。糖尿病のように、よく食べているのに痩せる病気もあります [※5]。

Q5. シニア用のドッグフードにはいつ切り替えればいいですか?

米国の飼料検査官協会(AAFCO)にはシニア向けの栄養基準がなく [※1]、「シニア用」の中身は製品ごとに違います。年齢だけで切り替えず、体重や体型の変化を見て、総合栄養食であることと対象の成長段階を確かめて選んでください。シニア期の始まりについては「犬のシニア期は何歳から?」で整理しています。

参考文献

  1. 2023 AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats: Nutrition(Dhaliwal R, Boynton E, Carrera-Justiz S, et al. 米国動物病院協会(AAHA)・Journal of the American Animal Hospital Association 59(1):1-21, 2023)
  2. Nutrition for aging cats and dogs and the importance of body condition(Laflamme DP. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice 35(3):713-742, 2005)
  3. Cachexia and sarcopenia: emerging syndromes of importance in dogs and cats(Freeman LM. Journal of Veterinary Internal Medicine 26(1):3-17, 2012)
  4. Nutritional Requirements of Small Animals(Sanderson SL, DVM, PhD, DACVIM-Nutrition. MSD/Merck Veterinary Manual)
  5. Diabetes Mellitus in Dogs and Cats(Buishand F, DVM, PhD, DECVS. MSD/Merck Veterinary Manual)
  6. 2023 AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats: Dentistry(米国動物病院協会(AAHA), 2023)

メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて

メゾン・ド・ジビエの「天然鹿肉と8種類の雑穀ドライフード」は、全成長段階(オールステージ)に対応した総合栄養食です。原材料の先頭は生の鹿肉で、国産ジビエ認証を取得した施設で精肉・製造した鹿肉を使っています。シニア用に切り替えず、体重を見ながら量を調整して続けることもできます。体重や体型が変わってきたときは、獣医師と相談しながら量や内容を見直してください。

「天然鹿肉と有機玄米のやわらかリゾット」は、鹿肉・有機JAS認証の玄米・大根・キャベツ・にんじん・こんにゃく寒天粉末の6つの原材料でつくった、やわらかい食感のフードです。このリゾットは、井上慎也先生(GREENDOG&CATアニマルクリニック東京ミッドタウン院長、ベックジャパン動物病院グループ皮膚・アレルギー科専科長)の開発協力・監修のもとで開発しました。食物アレルギーに配慮したレシピで、アレルギーに関する臨床試験も行いました。食いつきを良くするための添加物や香料、合成保存料は使っていません。

▶ メゾン・ド・ジビエの鹿肉ドッグフードを見る

Back to blog