愛犬のアレルギー対策:症状の確認からドッグフード選びまで徹底解説

足先をなめる音が、夜中に続くようになった。季節が変わっても、耳や脇腹のかゆみが引かない。そんな変化から、食事を見直そうと考える飼い主は多いでしょう。

アレルギーが出にくい食べ物を選ぶ目安は、その犬がまだ食べたことのない食材かどうかです。獣医学の論文の集計では、原因として多いのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦で、米は2%、野菜が原因と確認された例はごくわずかでした [※1]。どの犬にも安全といえる食材はないため、新しい食材は1つずつ試し、症状が続くときは獣医師と原因を確かめます。

  • 出にくい食べ物:目安は、その犬が食べたことのない食材。野菜が原因と確認された例はごくわずか
  • 多い原因:牛肉・乳製品・鶏肉・小麦。米は2%で、穀物でも種類によって差が大きい
  • 花粉症と野菜・果物:スギ花粉症の犬がトマトに反応した症例が報告されている
  • 症状:皮膚のかゆみが中心。耳・足先・お腹に出やすく、外耳炎や下痢を伴うこともある
  • 確かめ方:8週間以上の除去食試験と負荷試験。家庭では新しい食材を1つずつ、2週間ほど様子を見る

犬の食物アレルギーで見られる症状

食物アレルギーの犬に最も多く見られるのは、皮膚のかゆみです。獣医学の論文によると、かゆみは全身に出ることが多く、耳・足先・お腹もよく見られる部位として報告されています [※2]。

かゆみのほかに多いのは、外耳炎と皮膚の細菌感染(膿皮症)で、同じ犬に重なって出ることもあります。外耳炎が見られた犬の割合は、研究によって3〜69%と幅がありました [※2]。

部位 主なサイン 報告の傾向
皮膚 耳・足先・お腹などのかゆみ、膿皮症 多くの研究で9割を超える犬にかゆみ
耳 外耳炎 研究により3〜69%
消化器 下痢、排便回数の増加、嘔吐 下痢と嘔吐は2割を超える犬で報告(多くは下痢)
その他 結膜炎、くしゃみ 報告は少ない

出典:獣医学の論文 [※2][※3]

ラム肉や卵、サーモンなど特定の食材を疑うときも、確認するサインはこの表と同じです。発症する年齢は1歳未満から13歳までと幅広く、1歳までに症状が出た犬は4割弱でした [※2]。成犬やシニア犬になってから気づく例もあるため、年齢だけで食物アレルギーを外さないようにしましょう。

アトピー性皮膚炎とは見た目で区別しにくい

獣医皮膚科の診断指針では、食物アレルギーによる皮膚症状は、ダニや花粉などで起こるアトピー性皮膚炎と見た目では区別できない場合があるとされています [※4]。一方で、下痢や軟便、おならや排便回数の増加といった消化器の症状は、食べ物が関わる場合に見られやすい手がかりです [※4]。

季節に関係なく一年中かゆみが続く場合、食物アレルギーかどうかは除去食試験で確かめるしかありません [※4]。両者の違いは「犬のアトピーと食物アレルギーの違い・見分け方」で詳しく解説しています。

こうした症状が続くときは、フードを次々に替える前に、動物病院で相談してください。ノミなどの寄生虫や皮膚の感染症を除いたうえで食事の検討に進むのが、診断の順番です [※4]。

犬の食物アレルギーで報告が多い原因食材

獣医学の論文が原因食材を確認できた犬297頭を集計したところ、牛肉が34%で最も多く、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%が続きました [※1]。合計が100%を超えるのは、1頭が複数の食材に反応した例を含むためです。

食材 頭数 割合
牛肉 102頭 34%
乳製品 51頭 17%
鶏肉 45頭 15%
小麦 38頭 13%
大豆 18頭 6%
ラム肉 14頭 5%
トウモロコシ 13頭 4%
卵 11頭 4%
豚肉 7頭 2%
魚 5頭 2%
米 5頭 2%
大麦・ウサギ肉・チョコレート・インゲン豆・トマト 各1頭 —

原因食材が確認された犬297頭の集計(1頭が複数の食材に反応した例を含む)。出典:Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. BMC Veterinary Research 12:9, 2016)

上位には、牛肉・乳製品・鶏肉・小麦といった身近な原材料が並びます。ラム肉も5%あり、原因になる肉は牛肉や鶏肉に限られません。大切なのは「この食材なら安全」という一覧よりも、その犬がこれまで何を食べてきたかとなります。

米・穀物のアレルギー

米が原因と確認された犬は297頭中5頭(2%)で、牛肉の102頭、鶏肉の45頭と比べると少数でした [※1]。穀物では小麦が13%と最も多く、トウモロコシ4%、米2%と続き、大麦は1頭です。

「穀物アレルギー」とひとまとめにされがちですが、穀物の種類によって報告の数は大きく違います。フードを選ぶときは、穀物を含むかどうかより、どの穀物かを見るほうが実際的です。白米も玄米も同じ米なので、米に反応する犬ではどちらも避けることになります。

食べ物への反応には、免疫が関わるアレルギーのほかに、免疫が関わらない食物不耐性もあります [※4]。どちらにあたるかの判断も含めて、獣医師と相談しながら進めてください。食材ごとの傾向は「犬の食物アレルギー原因タンパク質ランキング」で、同じフードを続けることとの関係は「犬のフードローテーションとアレルギーの関係」で整理しています。

犬にアレルギーが出にくい食べ物・野菜はある?

原因食材の集計で、野菜や豆が原因と確認されたのはトマトとインゲン豆の各1頭だけでした [※1]。キャベツ、にんじん、かぼちゃ、さつまいも、じゃがいもは、この集計では原因として挙がっていません。

ただし、集計に挙がっていないことは、その食材に反応する犬がいないという証明ではありません。肉や穀物を含め、出にくさを考えるときに頼りになるのは、その犬がまだ食べたことのない食材かどうかです [※4]。

新しい野菜や食材は1種類ずつ、2週間を目安に

新しい食材は一度に1種類だけ少量から加え、そのあいだはほかの変更を控えます。除去食試験の負荷試験では、9割の犬が食材を戻してから14日以内に悪化していました [※5]。家庭で野菜などを試すときも、2週間ほどは同じ条件で様子を見ると、反応の有無を判断しやすくなるでしょう。

除去食試験の最中や、獣医師から食事の指示を受けている場合は、トッピング1つでも結果に響きます。新しいものを加える前に、必ず相談してください。

花粉症の犬と野菜・果物

人では、花粉と似た構造のたんぱく質をもつ野菜や果物で、口やのどに症状が出ることが知られています。スギ花粉症の人の血液を調べた研究でも、スギ花粉とトマトの間で抗体の交差反応が確かめられました [※6]。

犬でも、スギ花粉症の犬が生のトマトを食べて口腔アレルギー症候群を起こし、スギ花粉とトマトの間で同じ交差反応が確認された症例が報告されています [※7]。1頭の症例報告のため花粉症の犬すべてに当てはまるとはいえませんが、「花粉症の犬に注意したい食べ物」として野菜・果物が挙げられるのは、この仕組みによるものと考えられます。花粉症と診断されている犬に新しい野菜や果物を与えるときは、少量から始めて食べた直後の様子を見てください。

アレルギーとは別に、犬に与えてはいけない食品

手作りやトッピングで食材を広げるときは、中毒を起こす食品にも気をつけます。獣医師が執筆する獣医学マニュアルでは、ぶどう・レーズン、チョコレート、キシリトール、マカダミアナッツが犬にとって危険な食品として挙げられています [※8]。玉ねぎやにんにくなどのネギ類は貧血を起こすおそれがあり、加熱したものでも中毒が報告されています [※9]。

原因の食材を確かめる方法は除去食試験

原因の食材を確かめる方法として獣医学で標準とされているのは、除去食試験と、その後の負荷試験です [※10]。血液中の抗体(IgE・IgG)を調べる検査は結果の再現性が低く、犬では正確さのばらつきが大きいと報告されています [※10]。

除去食試験では、その犬が食べたことのない原材料でできたフードや、獣医師が選ぶ加水分解食だけを与え、症状が落ち着くかを見ます [※4]。獣医学の論文によると、試験を8週間続けた時点で、食物アレルギーの犬の9割以上で症状がおさまっていました [※11]。

症状が落ち着いたら、もとの食材を戻して反応を確かめる負荷試験に進みます。試験に使うフードは獣医師と相談して決めましょう。除去食向けとされる「新奇・限定原材料」のフードでも、33〜83%で表示にない原材料が検出されたという報告があります [※12]。進め方は「犬のアレルギー検査で改善しない理由と除去食試験の正しい進め方」で詳しく解説しています。

アレルギーが気になる犬の家庭の食事で大切なこと

家庭の食事で大切なのは、食べた経験の少ないたんぱく質源を選ぶこと、おやつまで含めて原材料を把握すること、サプリメントを補助として考えることの3つです。

たんぱく質源は「これまでの食歴」で選ぶ

除去食に使う食材は、その犬がこれまで食べたことのないものが理想とされています [※4]。まずは今までのフード・おやつ・トッピングの原材料を書き出してみてください。牛肉や鶏肉が中心の食歴なら、鹿肉や馬肉、魚など、まだ口にしていないたんぱく質源が候補に挙がります。

鹿肉は、牛や鶏とは別の動物のたんぱく質源なので、食歴に鹿肉がなければ候補の一つになります。メゾン・ド・ジビエのドライフードも、牛肉・鶏肉・乳製品・小麦を使わずに作っています。

おやつやトッピングも「食べたもの」に数える

主食を替えても、おやつやトッピングに牛肉・鶏肉・小麦などが入っていれば、原因の食材を食べ続けていることになります。原材料表示は、主食と同じように一つずつ確かめてください。メゾン・ド・ジビエの赤身ジャーキー(薄型タイプ)は、原材料が鹿肉だけです。選び方の基準は「食物アレルギーの犬にジャーキーを選ぶ3つの基準」にまとめています。

サプリメントは補助として考える

サプリメントは食事管理を補うもので、原因の食材を避けることの代わりにはなりません。犬のアトピー性皮膚炎の国際的な治療指針では、必須脂肪酸のサプリメントは皮膚表面の脂質や被毛のつやに影響し、症状をわずかに和らげる可能性があるものの、単独の治療には向かないとされています [※13]。

効果があるとしても現れるまでに2か月ほどかかり、脂肪酸の種類や配合による優劣も示されていません [※13]。サプリメントにも原料や香りづけの成分が含まれるため、除去食試験中は主食と同じように原材料を確かめ、与える前に獣医師に相談しましょう。

まとめ

アレルギーが出にくい食べ物を選ぶ目安は、その犬がまだ食べたことのない食材かどうかです。原因として多いのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦で、米は2%、野菜が原因と確認された例はごくわずかでした。

家庭でできることは、これまでの食歴を書き出し、新しい食材を1種類ずつ、2週間ほどかけて試すこと。皮膚のかゆみや外耳炎、下痢が続くときは、動物病院で除去食試験について相談してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬にアレルギーが出にくい野菜はありますか?

原因食材の集計で野菜や豆が原因と確認されたのは、トマトとインゲン豆の各1頭だけでした。キャベツ、にんじん、さつまいもなどは挙がっていません [※1]。どの犬にも安全とはいえないため、1種類ずつ少量から試してください。

Q2. 犬に米アレルギーはありますか?

あります。原因食材の集計では297頭中5頭(2%)が米に反応しており、牛肉34%や鶏肉15%と比べると少数です [※1]。白米も玄米も同じ米なので、米に反応する犬ではどちらも避けます。

Q3. 花粉症の犬に与えない方がよい食べ物はありますか?

気をつけたいのは、花粉と似た構造のたんぱく質をもつ野菜や果物です。犬では、スギ花粉症の犬が生のトマトで口腔アレルギー症候群を起こした症例が報告されています [※7]。花粉症と診断されている場合は、新しい野菜や果物を与える前に獣医師に相談してください。

Q4. ラム肉や卵のアレルギーではどんな症状が出ますか?

食物アレルギーで多い症状は皮膚のかゆみで、外耳炎や下痢を伴うこともあります [※2]。原因食材の集計では、ラム肉は5%、卵は4%の犬で報告されています [※1]。

Q5. 新しい食材を試すとき、何日くらい様子を見ればよいですか?

2週間ほどが目安です。除去食試験の負荷試験では、9割の犬が食材を戻してから14日以内に悪化していました [※5]。一度に試す食材は1種類にしてください。

参考文献

  1. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. BMC Veterinary Research 12:9, 2016)
  2. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (7): signalment and cutaneous manifestations of dogs and cats with adverse food reactions(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 15:140, 2019)
  3. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (6): prevalence of noncutaneous manifestations of adverse food reactions in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T. BMC Veterinary Research 14:341, 2018)
  4. Canine atopic dermatitis: detailed guidelines for diagnosis and allergen identification(Hensel P, Santoro D, Favrot C, Hill P, Griffin C. BMC Veterinary Research 11:196, 2015)
  5. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (9): time to flare of cutaneous signs after a dietary challenge in dogs and cats with food allergies(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 16:158, 2020)
  6. Assessment of cross-reactivity between Japanese cedar (Cryptomeria japonica) pollen and tomato fruit extracts by RAST inhibition and immunoblot inhibition(Kondo Y, Tokuda R, Urisu A, Matsuda T. Clinical & Experimental Allergy 32(4):590-594, 2002)
  7. Oral Allergy Syndrome Induced by Tomato in a Dog with Japanese Cedar (Cryptomeria japonica) Pollinosis(Fujimura M, Ohmori K, Masuda K, Tsujimoto H, Sakaguchi M. Journal of Veterinary Medical Science 64(11):1069-1070, 2002)
  8. Food Hazards(Gwaltney-Brant SM, DVM, PhD. MSD/Merck Veterinary Manual(Pet Owner Version))
  9. Garlic and Onion (Allium spp) Toxicosis in Animals(Hayes C, DVM(ASPCA Animal Poison Control Center). MSD/Merck Veterinary Manual)
  10. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (4): can we diagnose adverse food reactions in dogs and cats with in vivo or in vitro tests?(Mueller RS, Olivry T. BMC Veterinary Research 13:275, 2017)
  11. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (1): duration of elimination diets(Olivry T, Mueller RS, Prélaud P. BMC Veterinary Research 11:225, 2015)
  12. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (5): discrepancies between ingredients and labeling in commercial pet foods(Olivry T, Mueller RS. BMC Veterinary Research 14:24, 2018)
  13. Treatment of canine atopic dermatitis: 2015 updated guidelines from the International Committee on Allergic Diseases of Animals (ICADA)(Olivry T, DeBoer DJ, Favrot C, et al. BMC Veterinary Research 11:210, 2015)

メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて

メゾン・ド・ジビエは、国産ジビエ認証を取得した施設で精肉・製造した鹿肉を使っています。「天然鹿肉と8種類の雑穀ドライフード」はオールステージの総合栄養食で、主原材料は国産ジビエ認証取得の鹿肉です。

「天然鹿肉と有機玄米のやわらかリゾット」の原材料は、鹿肉・有機JAS認証の玄米・大根・キャベツ・にんじん・こんにゃく寒天粉末の6つ。このリゾットは、井上慎也先生(GREENDOG&CATアニマルクリニック東京ミッドタウン院長、ベックジャパン動物病院グループ皮膚・アレルギー科専科長)の開発協力・監修のもとで開発しました。食物アレルギーに配慮したレシピで、アレルギーに関する臨床試験も行いました。食いつきを良くするための添加物や香料、合成保存料は使っていません。

愛犬の食歴に鹿肉がなければ、獣医師と相談しながら、たんぱく質源の候補の一つに加えてみてください。

▶ メゾン・ド・ジビエの鹿肉ドッグフードを見る

Back to blog