子犬の主食に鹿肉ドッグフードを - 栄養の数値と成長期の選び方

鹿肉ドッグフードは、子犬の主食としても選べます。鹿の赤身肉は高たんぱくで脂質が少なく、鉄を豊富に含む素材です。成長期の総合栄養食として作られた鹿肉フードであれば、離乳期から成犬になるまで、毎日の食事として使えます。この記事では、鹿肉の栄養を数値で確かめたうえで、子犬に与えるときに見ておきたい表示と、与え始める時期・量・切り替え方を整理します。

  • 鹿の赤身肉は、牛のもも肉と比べて脂質が約4分の1、鉄が約3倍
  • 「幼犬期・成長期」または「全成長段階(オールステージ)」の総合栄養食なら、離乳期から主食にできる
  • 大きく育つ犬種は、成長期のカルシウムの量とバランスを確かめておく
  • 1日の量は体重から計算でき、生後4か月を境に目安が変わる
  • 鹿肉は、食物アレルギーの原因として報告の多い牛肉・鶏肉などとは別の選択肢になる

高たんぱく・低脂肪で鉄が豊富な鹿肉

鹿の赤身肉の特徴は、牛肉と比べて脂質が少なく、鉄が多いことです。文部科学省の食品成分データベースで、生の肉100gあたりを比べると次の表のようになります [※1]。

100gあたり(生) 鹿・赤肉 牛・もも 鶏・むね(皮なし)
エネルギー 107kcal 169kcal 105kcal
たんぱく質 22.6g 20.5g 23.3g
脂質 2.5g 9.9g 1.9g
鉄 3.9mg 1.3mg 0.3mg

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年。鹿は「にほんじか(きゅうしゅうじか)赤肉 生」、牛は「乳用肥育牛肉 もも 皮下脂肪なし 生」、鶏は「若どり むね 皮なし 生」 [※1]

たんぱく質は牛もも肉より多く、脂質の少なさは鶏むね肉に近い水準です。鉄は牛もも肉のおよそ3倍、鶏むね肉の10倍以上あります。たんぱく質をしっかりとりながら、脂質は抑えたい。そうした成長期の食事に、鹿肉は使いやすい素材といえます。

総合栄養食の鹿肉フードでは、この鹿肉に穀物や野菜、ビタミン・ミネラルを組み合わせて、成長期に必要な栄養全体が設計されています。鹿肉の良さを子犬の成長に生かすには、フード全体として成長期の基準を満たしているかを確かめておくことが大切です。

子犬用の鹿肉フードを選ぶときに見る表示

「総合栄養食」と成長段階の表示

日本のペットフードの表示ルールでは、毎日の主食として水と一緒に与えるだけで健康を維持できるよう設計されたものを「総合栄養食」と呼び、どの成長段階に対応するかを併記することになっています [※2]。成長段階の区分には「幼犬期・成長期」「成犬期・維持期」「全成長段階(オールステージ)」などがあります [※2]。

子犬の主食には、「幼犬期・成長期」か「全成長段階」の表示がある鹿肉フードを選びます。全成長段階の総合栄養食であれば、子犬期から成犬になってからも同じフードを続けられるので、成長に合わせてフードを替える手間もかかりません。

たんぱく質と脂肪は「水分を除いた値」で比べる

米国の飼料検査官協会(AAFCO)の栄養基準では、成長期の犬のフードに求めるたんぱく質の最低量を乾物量(水分を除いた重さ)で22.5%、脂肪を8.5%としています [※3]。パッケージの保証成分値は水分を含んだ値なので、乾物量に直してから比べます。

換算は「成分値 ÷(100 − 水分%)× 100」です。たとえば粗たんぱく質25%、水分10%のドライフードなら、乾物量では約27.8%になります。ドライフードとウェットフードでは水分量が大きく違うため、比べるときはこの換算が役に立ちます。

大きく育つ犬種はカルシウムの量とバランスを確かめる

これは鹿肉に限らず、成長期のフード全般にいえることです。骨の発達はカルシウムとリンの量とバランスに左右され、獣医栄養学の論文では、成犬時の体重がおよそ30kgを超える犬種で、カルシウムの過剰の影響を特に受けやすいとされています [※4]。グレート・デーンを使った実験では、カルシウムの過剰が骨の発育障害につながったと報告されています [※5]。

カルシウムとリンの比率の推奨範囲は、1:1〜2:1です [※5]。総合栄養食はこの点も含めて設計されているため、自己判断でカルシウムのサプリメントを足すことは避けてください。大型犬・超大型犬の子犬は、成長が12〜15か月ごろまで続きます [※5]。この時期のフード選びは、かかりつけの獣医師と相談しながら進めると安心です。

DHAの配合

ビーグルの子犬48頭に、DHAを多く含む魚油で強化したフードを生後8週から1歳まで与えた試験では、DHAの少ないフードを与えた群と比べて、学習課題や視覚の識別、運動の課題、ワクチン接種後の抗体価で良い結果が報告されています [※6]。原材料欄で、魚油などDHA源の記載もあわせて見ておくとよいでしょう。

いつから、どれくらい、どう切り替えるか

与え始める時期

子犬が母乳から固形の食事に移る離乳は、生後3〜4週ごろに始まり、6〜8週ごろに終わるのが一般的です [※7]。ドライフードは、ぬるま湯でふやかしてつぶした状態から始め、加える水を少しずつ減らして、粒のまま食べられるようにしていきます [※7]。成長期の総合栄養食の鹿肉フードなら、この離乳の段階から使えます。食事の回数は、離乳期には少なくとも1日4回が目安です [※7]。

1日の量の目安

まずはパッケージの給与量の表を基準にします。自分で目安を確かめたい場合は、体重から計算できます。安静時に必要なエネルギー量は「70 ×(体重kg)の0.75乗」で求め [※8]、子犬はその3倍(生後4か月未満)、または2倍(4か月以降)が1日の目安です [※9]。

いまの体重 4か月未満(3倍) 4か月以降(2倍)
2kg 約353kcal(約98g) 約235kcal(約65g)
5kg 約702kcal(約195g) 約468kcal(約130g)
10kg 約1,181kcal(約328g) 約787kcal(約219g)

( )内は100gあたり360kcalのドライフードの場合。計算式は [※8][※9] による

この数値は出発点です。子犬は体つきの見た目だけでは過不足を判断しにくいため、週に1回体重を量り、成長曲線と比べながら量を調整する方法が勧められています [※5]。便の状態もあわせて見ておけば、量の調整がしやすくなります。

フードの切り替え方

別のフードから鹿肉フードに移るときは、7〜10日かけて少しずつ置き換えるのが基本です [※10]。

  1. 1〜2日目:いままでのフード3/4、鹿肉フード1/4
  2. 3〜4日目:半分ずつ
  3. 5〜7日目:いままでのフード1/4、鹿肉フード3/4
  4. 8〜10日目:鹿肉フードのみ

便がゆるくなったり食いつきが落ちたりした場合は、その段階で数日とどまり、期間を延ばします [※10]。下痢が続く、元気がないといった様子があれば、切り替えを止めて獣医師に相談してください。

アレルギーに配慮するなら鹿肉フードも候補に

獣医学の論文によると、犬の食物アレルギーの原因として多く報告されているのは牛肉、乳製品、鶏肉、小麦で、いずれも多くの犬が日常的に口にしてきた食材です [※11]。鹿肉はこれらとは別のタンパク源で、多くの犬にとってなじみのない肉です。食物アレルギーが疑われる犬の食事管理では、それまで食べたことのないタンパク源を選ぶ方法がとられ、鹿肉はその候補になります [※11]。

子犬の時期にどのタンパク源を中心にするかは、こうした将来の選択肢も含めて考えておきたいところです。考え方は「子犬の食物アレルギーリスクとフード選び」で、原因になりやすいタンパク源は「犬の食物アレルギー原因タンパク質ランキング」で詳しく整理しています。皮膚のかゆみや下痢など、気になる症状がある場合は、フードを替える前に獣医師に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 子犬に鹿肉ドッグフードはいつから与えられますか?

「幼犬期・成長期」または「全成長段階」の総合栄養食であれば、離乳の時期から与えられます。離乳は生後3〜4週ごろに始まるのが一般的で、最初はぬるま湯でふやかしてつぶしたものから始めます [※7]。

Q2. 成犬用の鹿肉ドッグフードを子犬に与えてもいいですか?

総合栄養食は、表示された成長段階で健康を維持できるように作られています [※2]。子犬の主食には、「幼犬期・成長期」か「全成長段階」の表示があるものを選んでください。全成長段階の鹿肉フードなら、子犬期から成犬期まで続けて使えます。

Q3. 大型犬の子犬にも鹿肉ドッグフードは使えますか?

使えます。大型犬の子犬は、成長期のカルシウムの量とバランスに特に気を配りたい犬種です。成犬時におよそ30kgを超える犬種は、カルシウムの過剰の影響を受けやすいとされています [※4]。日本の表示区分には「大型犬の成長期」という区分がないため、カルシウムとリンの量をメーカーに確かめるか、獣医師に相談したうえで選ぶと安心です。

Q4. アレルギーが心配な子犬に、鹿肉ドッグフードは向いていますか?

鹿肉は、犬の食物アレルギーの原因として報告の多い牛肉、乳製品、鶏肉、小麦とは別のタンパク源です [※11]。これらの食材で体調を崩した経験がある子犬にとっては、候補のひとつになります。症状がある場合は、獣医師と相談しながら進めてください。

参考文献

  1. 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)(文部科学省)食品番号11295・11048・11220
  2. ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(全国公正取引協議会連合会 掲載)
  3. The revised AAFCO dog and cat food nutrient profiles, part 2(Dzanis DA・Petfood Industry)
  4. Factors that modify the effect of excess calcium on skeletal development in puppies(Dobenecker B・British Journal of Nutrition・2011)
  5. Calcium and phosphorus: getting the balance right(Böswald L, Dobenecker B・Veterinary Focus)
  6. Evaluation of cognitive learning, memory, psychomotor, immunologic, and retinal functions in healthy puppies fed foods fortified with docosahexaenoic acid–rich fish oil from 8 to 52 weeks of age(Zicker SC ほか・Journal of the American Veterinary Medical Association・2012)
  7. When Can Puppies Eat Solid Food? What To Know about Weaning Puppies(Coates J, DVM・PetMD)
  8. Calculating Calories Based on Pet Needs(Pet Nutrition Alliance)
  9. Daily Maintenance Energy Requirements for Dogs and Cats(Merck Veterinary Manual)
  10. Changing Dog Food: How to Transition(Purina)
  11. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats(Mueller RS, Olivry T, Prélaud P・BMC Veterinary Research・2016)

メゾン・ド・ジビエの鹿肉フードについて

メゾン・ド・ジビエのドライフードは、国産の生鹿肉を主原料に、大麦や玄米などの雑穀を合わせた全成長段階(オールステージ)対応の総合栄養食です。離乳期の子犬から成犬、シニア期まで、同じフードを主食として続けられます。生の鹿肉を使い、薬剤で粒を膨らませない製法で仕上げています。

与える量は、パッケージの表示と上の計算を目安に、体重と便の様子を見ながら調整してください。大型犬の子犬や、体調に気になる点がある場合は、かかりつけの獣医師と相談したうえで検討してみてください。

 

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